その際たるモノが、響板かも知れません。
弦の振動は、空気に触れる面積が少ない為、そのままですととても小さな音です。
ですので、広い面積に拡散させ、楽器らしい音にします。
その役割を担っているのが、響板と呼ばれる、弦の下に広がっている薄い木材です。
最も音響的に影響が大きくなる部材です。
私は、響板の木目を放射状に配置します。
今回は、中低音部にスプルース、中高音部にレッドシーダーを使用しました。
駒(ブリッジ)と響板の木目を出来るだけ垂直に近づけることによって、少ない部材で最大の強度を得ることができます。
それによって響板もフリーになり、弦の振動の損失が少なくなり、効率良く音のエネルギーとして放出されます。
7枚の板をはぎ合わせ整形して、表にはブリッジ、裏にはカットオフバー等を接着します。
製作家の友人は何故かこの二色の響板を見るたびに「ホッキ貝食べに行きましょう」と誘ってきます…。
(9/12 加屋野木山)