2016-11-19

その3:テール、ベントサイド製作

チェンバロのオシリの話しをしましょう。
オシリには、とんがったものとまぁるいものと、二種類あります。
ほとんどのチェンバロは、とんがっています。
現代のチェンバロ製作は歴史的な名器を元に復元されることが多いので、ジャーマン等を除くと、とんがってしまいます。

今回のテーマは、リュートやギターに関わる音楽。
当時はガット等の柔らかい弦を使用していました。
ですからボディは、音の為にも非常に薄作り。
薄い材料を用いると、心配なのが強度です。

よく観察してみますと、薄作りの楽器のボディは様々な曲線に溢れているんですね。
実は、同じ材質でも、直線な平らよりも曲線を駆使した方が、弦に引っ張られる力に負けにくくなるんです。
身近な例を挙げますと、ペットボトルの容器。
あれだけ薄い材質に様々な凹凸を駆使して、デザイン性と強度を増しているんです。

今回のチェンバロでは、金属弦を使いません。
ですから、リュートのような薄いボディで強度と音響のバランスを取ることにしました。
ですので、オシリはまぁるくします。

 

しかし、板を曲げるのは簡単ではありません。
割れないように熱を加えながら、じっくりと。
真夏のストーブは…たいへん心地よい汗をかけます!
割れないか、ちょっぴり冷汗も混じります…
オシリを曲げたらベントサイドも曲げ、整形した底板とピッタリ同じカーブになるように。
少しだけ、2次元から3次元へ、脱皮を始めました!

(8/29 加屋野木山)