2016-11-19

その17:ジャックとペダル

いよいよ、本番までひと月を切りました。
楽器製作過程の報告も、間も無く終了です。
来週には山縣さんのお宅へ搬入予定です。

ジャックには、はじくタイミングを調整できるよう、下端にネジをとりつけます。
このネジは同時にオモリの役割も果たします。
3.5ミリの厚みのジャックに2ミリの穴を空ける作業は、慎重に行われます。
まっすぐドリルを入れればまっすぐな穴が空くと思われがちですが、硬い木材ですと、そうはいきません。
木材の中には木目が幾層にも重なっており、細いキリは簡単に木目に翻弄されて、穴は斜めに空いてしまうのです。
ネジを付けたジャックは、まずcの音にツメを入れて、全体のバランスをみながら厚みや形状を決めます。


最後にダンパーを付けるのですが…
今回の楽器には、ヒザペダルが付いています。
鍵盤全体を1ミリ持ち上げダンパーを開放する、というシンプルな仕組みです。
現在弾ける状態のリュートチェンバロには、音の減衰が早いせいか、ダンパーそのものが付いてないモノが多く見受けられます。
全て開放弦の豊かなサウンドも魅力ですが、曲によっては、残響が残らない方が音楽的なモノもあります。
ですので、どちらも可能なように、大げさにならないシンプルなシステムのダンパーペダルを試みてみました。

そして、このペダルシステムによって、ダンパー取り付けの位置は普通のチェンバロよりシビアになってきます。
ただ音を止めれば良い、だけでなく、ダンパーフェルトとツメの間に均一な隙間を作らなければいけません。
余談ですが、チェンバロのジャックと車を持ち上げるジャッキは同じ言葉です。

(10/20 加屋野木山)